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Author:越後屋
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 官能小説家越後屋と申します。SM変態小説を書いています。書いている本人も立派な変態です。それでもいいと言う方、よろしくお願いします。

『関西発文藝エロチカ』

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私は、作品の中だけでなく、現実でも緊縛を楽しんでいます。ここには、私の緊縛作品を掲載していきます。
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だめんず・うお~か~(2)
「だめんず」度診断シリーズ、その2。

『十四才の母』。

 このお話のストーリーのヒロイン、一之瀬未希ちゃん。この娘はおそらく、だめんず・うお~か~だな。つまり、恋人の桐野くんは「だめんず」だ。

 桐野くんの性格は分裂している。出会ってから結ばれるまでの桐野くんは繊細で優しい子。ところが、未希ちゃんが、自分が妊娠していることに気付いて、桐野くんに相談しようとする辺りから、一転して冷淡で、未希ちゃんの気持ちも推し量れない無神経男に変身する。

 未希ちゃんが桐野くんと別れる決心をして、一人で生きていこうとすると、また、桐野くんは優しい繊細な子に戻る。出産のショックで未希ちゃんが昏睡状態になり、父親に未希に会ってくれ、赤ん坊に会ってくれと頼まれた桐野くんは、また一転して、臆病な卑怯者になって逃げ回る。

 これは、桐野くんを良い人とする、ドラマの設定の中で見るから不自然なのだ。彼を「だめんず」と考えるならば、女性がまだ自分のものでなかったり、自分から逃げようとする時だけ良い人になり、女性が自分の手の中に居る時には横柄になったり、自分勝手になったり、無責任になったりする「だめんず」の行動パターンとして実に自然だ。

 つまり、このシナリオは、良い子桐野くんを描こうとしながら、「だめんず」しか知らないが故につい、場面場面で「だめんず」の行動パターンで書いてしまったものなのだろうと思う。

 そういう矛盾はまだある。未希ちゃんの両親は愛情深い両親のはずなのだが、そうではない場面がいくつかあった。

 母親の場合、学校で娘が喧嘩をして呼び出しを食った時に、まだ詳しい事情も分からないまま、我が子の話を少しも聞かないまま、娘の頭を下げて謝らせてしまった。普通、それはしないだろうと思う。

 父親も、娘が、桐野くんが好きなのだと泣きながら告白した時、詳しいセリフは忘れたが、激しく怒り、そんなのは思い込みだというような内容で、娘の恋愛を全否定してしまう。確かに、我が娘の妊娠を知って動顚していたのだろうが、そういう風に泣かれた時、愛情深い父親なら、ただ立ち尽くすものなのじゃないだろうか。私がこのドラマを書くなら、そうする。

 総じて、このドラマは話の展開と細部がちぐはぐだ。流れとしては、十四才の女の子の妊娠という事実に戸惑いながらも、それを受け入れていく両親と恋人のお話という図式なのだが、細部の展開は、愛情薄い家庭で育ったアダルト・チルドレンの娘が、「だめんず」の男に妊娠させられて未婚の母になったという話に見える。

 もし私の見方が正しかったとすれば、このドラマの「だめんず」度は『僕の歩く道』よりも高い。『僕の歩く道』では、都古ちゃんが「だめんず・うお~か~」であることはある程度意識して書かれているのだが、『十四才の母』では、桐野くんは「だめんず」だ、未希ちゃんは「だめんず・うお~か~」なのだという意識さえ無い。つまり、客観視することもできていない。それだけ、どっぷりと「だめんず・うお~か~」の感覚に浸ってしまっているのだ。

 もしこの物語が十四才の娘の妊娠の物語だとするとクライマックスに置かれるであろう出産シーンは、最終回の二回前で早くも終わってしまった。

 そこで私は予想していた。最終回は、桐野くんが未希ちゃんのところに戻ってきて終わるのではないか。

「だめんず・うお~か~」の夢。それは「だめんず」の彼が、自分の献身的な愛で改心し、生活を改めて自分の愛に応えてくれる人間に変わることだ。ラスト・シーンでは、その「だめんず・うお~か~」の夢の実現がクライマックスになるのではないだろうか。

 つまり、最終回の桐野くんは「だめんず・うお~か~」の夢の具現化なのだ。

 実際の最終回には、赤ん坊の心停止というもう一つの山場が用意されていた。そして、クライマックスは赤ちゃんの退院の形になっていた。

 その一方で、私の予想したストーリーも、ちゃんと展開していた。まあ、もっとあからさまに二人のハッピー・エンドで終わると思っていたので、半分正解、くらいのものだろうか。

『十四才の母』、「だめんず」度、10点満点。