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 官能小説家越後屋と申します。SM変態小説を書いています。書いている本人も立派な変態です。それでもいいと言う方、よろしくお願いします。

『関西発文藝エロチカ』

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私は、作品の中だけでなく、現実でも緊縛を楽しんでいます。ここには、私の緊縛作品を掲載していきます。
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だめんず・うお~か~(3)
「だめんず」度診断シリーズ、その3。

『嫌われ松子の一生』

 実は、ドラマの方はほとんど見ていない。裏番組の、『Dr.コトー診療所2006』の方を見ていたので。ということで、今回は原作本の批評。ドラマは違うよという箇所があれば、ご指摘お願いします。

 嫌われ松子は、人のために生きる女。人生の転機があると、自分が何をしたいかではなく、自分は大切な人のために何ができるかを考える女。

 というと、すごく献身的な女と思えるがそうではない。要するに、自分に自信が持てない女。だから、何かを決断する時、自分はどうしたいかを基準に決められない。誰かの思いに引き摺られる形でしか、何かを決められない。

 その結果、松子はその場面場面で、最悪の決断をしていく。そして松子は、どんどん不幸になっていく。

 ある意味、『嫌われ松子の一生』は、だめんず・うお~か~をテーマにした作品と言える。

 にも拘わらず、その「だめんず」度にあまりリアリティーを感じない。

 その理由の一つは、筆者が「だめんず」の資料を集めすぎたことによるのかと思う。

 松子は一言で言って、フランケンシュタインだ。筆者が取材した、様々な女たちの躓きをパッチ・ワークのようにつなげている。

 そして、そのつなぎ目で、少しずつ齟齬がある。それが、全体としての松子のリアリティーを損なうものになってしまっているのだと思う。

 もう一つ、筆者は松子を善意の人として書き、彼女を不幸にしていく男たちの罪を問う。

 確かに、松子の周りの男たちは最低だ。だが、そんな男たちを集めてしまう、松子の「だめんず・うお~か~」の面をしっかり押さえておかないと、単に男運の悪い女で済ませられてしまう可能性もある。

『嫌われ松子の一生』に出てくる男の中で、もっともまともな男は、ソープランドのマネージャー、赤木だ。赤木は職を辞して郷里に帰る時、松子を誘う。一緒に帰らないかと。つまり、俺と一緒にならないかと。

 松子は結局、いかない。ここに、「だめんず・うお~か~」松子の松子らしさが表れている。つまり、男に散々不幸にされながら、自分を不幸にしていく危険な香りがしない男には魅力を感じないのだ。

 でも、作者はそこを掘り下げないんだよね。松子の業の問題を追及してみたら、結構面白かったりするかもしれないのに。

 惜しいよなあ。実に惜しい。

『嫌われ松子の一生』、「だめんず』度、7。