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Author:越後屋
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 官能小説家越後屋と申します。SM変態小説を書いています。書いている本人も立派な変態です。それでもいいと言う方、よろしくお願いします。

『関西発文藝エロチカ』

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私は、作品の中だけでなく、現実でも緊縛を楽しんでいます。ここには、私の緊縛作品を掲載していきます。
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だめんず・うお~か~(5)
「だめんず」度診断シリーズ、その5。

『役者魂』。

 「だめんず」度診断という企画なんだが、もっと気になることがあるので、先ず、そちらの話から。

『僕と彼女と彼女の生きる道』というドラマが最初だと思うんだが、育児放棄(ネグレクト)した母親が我が子を捨てて、後から
「やっぱり私が育てるから、この子連れていくね」
と言って子どもを連れ去ってめでたしめでたしというドラマ、そんなドラマを垂れ流していて、本当に良いのか? それじゃ、母親が反省しているからと言って子どもを返してやって、結果子どもを虐待死させてしまう児童相談所を追認しているようなものじゃないか。

 昔から言われていることわざがある。
「我が子の可愛くない親は居ない」
 その通りだと思う。どんな親だって、我が子は可愛い。自分の子どもを虐待死させる母親だって、我が子は可愛いに決まっている。

 でもその一方で、一年三百六十五日、四六時中子どもと接していて、可愛いという感情だけで子どもと接していける親も居ない。そして虐待は、子どもを可愛いと思えない時に起こるのだ。

 子どもが可愛いと思えている間は、どんなダメ親でも優しい親で居られる。子どもを可愛いと思えない瞬間にどう接しているかで、親の愛情の深さが分かるんだよね。

 その点、『役者魂』の瞳美ちゃんは申し分無い母親だ。「あんたなんか大嫌い」と言われて、思わずかっとなり、手を振り上げて、でも、そこで躊躇して手を止める。可愛くないっと思った瞬間に、その手を止めることのできるだけの愛情が残っているというのは、母親として実に素晴らしいことだ。

 何度も繰り返すが、子どもが可愛い時間にどれだけ優しくても、その親が本当に優しい親とは言えない。かっとなって、この子、可愛くないっ、と思いながら、心のどこかで我が子を思いやる気持ちを捨て切れない。それが、本来の親の愛情というものだろう。

 子どもを殺してしまう児童相談所の職員は、そういうことが分かっていないんだ。だから、みすみす保護できていた子どもを地獄の家庭に戻して、殺してしまうのだ。

 深く反省して、涙を流して子どもを返してほしいと切々と訴える母親の心。それは真実だ。紛れも無い、真実。

 でも、その真実は、我が子を可愛いと思えている時間だけの真実。一緒に暮らし始めて、また、我が子を可愛くないと思う瞬間が訪れた時、その真実は真実でなくなる。

 例えば、『僕と彼女と彼女の生きる道』が実話だったとしたら、あの母親は、きっとまた凛ちゃんを捨てる。シングル・マザーで子育てを続けることのストレスに耐え切れなくなった時、あの母親はまた同じことを繰り返す。あるいは、もっと悲惨な結果になってしまうかもしれない。

 例えば、『役者魂』が実話だったとしたら、桜子と忠太はもう一度捨てられるだろう。恋多き母親が再び誰かと恋に落ちた時、この母親はまた、二人の子どもよりも恋人を選ぶに違いない。そしてまた、二人を捨てるかもしれないし、もし新しい恋人が二人を虐待し始めた場合、恋人の愛情を繋ぎ止めるために自分から進んで桜子と忠太を虐待し始めるかもしれない。

 この二つのドラマのラストは、そういうラストなのだ。その後の母子が幸せに暮らしていますという展開は、物語の中だから成立するおとぎ話なのだ。

 もし本当にこの母子が幸せになるためには、気長なカウンセリングを受け続けるなどの、それなりの努力が必要なはずなのだ。

『役者魂』のシナリオ・ライター、君塚良一さんは、『踊る大捜査線』で大ブレークし、その後、『チーム』というドラマで少年問題に長期間取り組み、その成果を最終的に『さよなら小津先生』という素晴らしいドラマに結実させた人。その人が、こんな無自覚なドラマを書いてしまったことに、私は落胆している。

 君塚先生、お願いしますよ。

 一応、本題の「だめんず」。経理の相川くん。「だめんず」。自分から里奈ちゃんにアプローチしていきながら、瞳美ちゃんにちょっと思わせぶりな素振りを見せられたとたんに心変わりし、里奈ちゃんから逃げ回る。浮気者だめんずの典型。まあ、ジェットコースター・ドラマのご都合主義が彼のキャラクターをそうさせてしまったということなんだろうけど。

 本能寺先生、「だめんず」。仕事にかまけて家庭を顧みないワーカー・ホリック。というより、家庭に居場所が無いので職場に逃げてるというのが正しい表現かな。昔、阪神大震災の時、自宅が倒壊して路頭に迷っている家族と、あちこちの瓦礫の下に埋まって藻掻いているご近所の人に見向きもせず、歩いて会社まで辿り着こうとした「だめんず」がたくさん居た。それが原因で離婚された人も多いらしい。

 でも、虐待親のシーンが強烈過ぎて、「だめんず」の印象、薄いなあ。今回は、これでお終い。


『役者魂』、「だめんず・うお~か~」度、6。 「だめんず・まざ~」度、10点満点。